大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(う)1319号 判決

被告人 王世傑

〔抄 録〕

原判決が原判示各所為に対する法令の適用を示すに当り、罰則規定たる麻薬取締法第六十四条第一項のみを挙げ、犯罪の構成要件を示すところの禁止規定を直接明示していないことは原判決書の記載に徴し所論のとおりである。刑事訴訟法第三百三十五条第一項により有罪判決に法令の適用を示す場合に、禁止規定と罰則規定とがその条項を異にするときは、その犯罪事実が如何なる禁止規定に違反し、そして如何なる罰則規定に該当するやにつき法令を引用するのが正確であることは言を俟たないところであるが、犯罪事実と相まつて判決主文が如何なる法令に基いて導き出されたかを了知し得る程度に法令を引用、説示すれば足りるところ本件においては、麻薬取締法第六十四条第一項は「第十二条第一項の規定に違反した者」のみに対する罰則を規定したものであるから、同法第六十四条第一項を挙示すれば同法第十二条第一項所定の麻薬を同項の禁止規定に違反して輸入、輸出、製造、製剤、譲渡、譲受、交付、施用、所持又は廃棄した所為を処罰する趣旨であることが窺えるし、更にこれを原判示各事実と対照すれば原判決は原判示各所為をそれぞれ同条項の規定に違反して麻薬を譲り渡し又は所持したものとして、各同法第六十四条第一項を適用処断したものであることを知り得るし、その余の適用法条と相まつて判決主文が導き出された法律的根拠を予知できるから原判決には法令の適用を示すについて所論の如き瑕疵があるものということはできない。論旨に引用する判例は、いずれも本件に適切ではない。論旨は採用の限りではない。

(三宅 河原 遠藤)

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